シーン14 男は立ち上がり、地下へと向かう

シーン14　男は立ち上がり、地下へと向かう。

シーン1

都立大学駅から、いつものように事務所へと向かう。建物の前で立ち止まる男。

シーン2

オートロックの前、中庭で佇む男。あたりを見渡す

シーン3

敷地内の奥へと進む男。気に入りの、しかし誰かのものである黒の自転車を、いつものように眺める。いつものように、上を見上げて、そこに自転車があることを確認する

シーン4

1階の玄関ドア。手前か、奥か。いつものように、一瞬躊躇して、手前の101号室のドアに向かう。

シーン5

玄関を開けて室内に入る。シューズボックスの扉を引きながら、ブラックのアイアンフレームの使い道に悩むそぶりをみせる

シーン6

この部屋は、決して日当たりが良いわけではないことを、いつも通り確認する。そして、ダイニングテーブルの前の椅子に座る。ぐるりと室内を見渡し、それでもやはり、自身の事務所としては気に入りの空間であることを確認する。書きかけのシナリオ、その続きを書くために、テーブルに置いたパソコンに向かう。

シーン7

やがて作業が煮詰まり、床に目を向ける男

シーン8

振り返り、キッチンを見る。晩ご飯をこの部屋で済ますか、自宅で妻と食事をとるか思案する

やがて、大きく伸びをして、立ち上がる。

シーン9

下の階へと向かう途中、中2階の棚を眺める。いくつか本を手に取る。やがて諦めたように、本を戻す。

シーン10

地下空間へと。ヒヤッとした冷たさを肌で感じる。

シーン11

床下収納へと進む。腰をかがめ中へと入り、今日のためにとっておいた赤ワインを手にとる。ワインセラーとして使っている床下収納を、ひとり満足そうに眺めている。

シーン12

地階の窓を開け、ドライエリアを覗き込む。風が通ることを確認する。その風が、ワインセラー、もとい床下収納の湿気を追い出す様子を想像する。

シーン13

地下の洗濯機置き場と、3点のユニットバスを、ぼんやりと眺める。特に意味はなさそうに

シーン14

日が暮れ始め、薄暗くなったダイニング。男は立ち上がり、地下へと向かう。ワインを取り出し、ソファに腰掛ける。地下のコンクリートの壁面に設置したスクリーンに、古い映画を投影する。今日の作業と、自宅に戻ることを諦める。とても満足そうな顔をして

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