ふぞろいの団地たち

団地。特にリノベーションされたそれは、最近話題ですよね。どうでしょう。敷地内でBBQや家庭菜園に勤しめて、室内はDIY可能。お部屋の目の前には敷地内の空き地。空き地に植えられた木に括り付けられた鳥の巣箱からはキュートなお顔がSay hello. 思わずベランダの柵を越えて空き地の草むらの上寝転がってしまって。こんな団地があったら、どうでしょう。

1964年に建てられた団地の1階の一室が借主を募集中です。場所は足立区の東綾瀬。表記上は綾瀬駅から徒歩16分ほど。確かに歩くのですが、なんでしょう、綾瀬駅前の雑多な、と言いますか台北の外れの商店街みたいな雰囲気の駅前を抜けて歩いて。東綾瀬に群生する団地たちと、実は驚くくらいに豊富な公園たちを抜けていると、意外にも16分という時間はあっという間で。東綾瀬、団地の子供たちが公園を駆け回るは、付近の駄菓子屋さんでは昔ながらの、おばちゃんと子供の掛け合いみたいなものが行われるはで。東綾瀬、なんだかほっこりタウン？などと思うことしばしです。

ご紹介の団地は外壁は綺麗に仕上げられていて、敷地内のサインだとか、敷地内にもっそりと建つ小屋2棟だとか、なんだかワクワク感が漂います。各棟は異なる色の塗装が施されていて、実は各室DIY可能だから室内の状況もまちまち。ふぞろいの団地ですね、まったく。林檎でも空に放り投げてみますかね。

1階お部屋の玄関を開けると、一見奥までスーッと土間コンクリートが伸びているようですが、グレーのフロアカーペットです。カーペットなのですが、室内奥のキッチンに行くと、やっぱりコンクリートの土間にキッチン、みたいな昔懐かしの印象を覚えます。もちろん設備は今風で、ステンレス天板にガスコンロの安心感。

前借主さんが設置したのでしょうか、室内の所々に残置物があります。アイアンの吊り戸棚だったり、有孔ボードだったり。こちらのお部屋、基本現況のまま居住頂きますので、残置物をそのまま使ってもよし、思い切って全部外して壁から床から塗装して造作物たくさんこしらえてもOKです。

それにしても、こちらの物件のハイライトはDIYの可能性ではなくって、9.8帖の洋室から見える外の景色ではないでしょうか。腰掛けるのにちょうど良い切り株。午後の陽光。思わずウクレレでも持って、空き地の草むらにダイブ、したくなりますよね。ならないですかね。

それにしても、東綾瀬って場所がまた良いと思うんです。東綾瀬は北千住の北東、上野出るのにもちょっと億劫というか。いわんや渋谷とか銀座とか清澄白河だなんて、もう年に一回程度で良いんじゃないか、って諦めの境地になると思うんですよね。もう都心のアクティビティは諦めとこ、って。

これ、逆にポジティブな諦観と捉えたら良いと思うんですよね。おしゃれなカフェやパンケーキがあるわけではない東綾瀬(私調べ)。あるのは目の前に広がる草むら。畑。煤けたBBQセット。もう自分で考えるしかないですよね、どうやって東綾瀬という場所で楽しむか。そこからがスタートだと思うんですよね。都心にいると、自分で考える間もなく隙間なくアクティビティが差し込まれていきますから。あっという間に自分の人生が誰かのもので埋められていってしまって。ここはもう、退路を絶って(東綾瀬の皆様、申し訳ありません)。自分の時間作りに勤しんでみるのもありだと思うんですよね。

あんまり物件の詳細を紹介していない事に今更ながら気付いてしまいましたが、それも良しとしましょう。(すいません)

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