西武新宿線新井薬師駅前は、東京の田舎だ。というと、断定しすぎだろうか。
山手線高田馬場駅から電車で10分と利便性は高いのに、新井薬師の駅前は、寂れている。
駅前の線路沿いに立ち並ぶスナックを見ると、寂れた地方都市の姿を思い出す。
けれども、新井薬師というエリアの面白いところは、駅から離れれば離れるほど、
ディープでワクワクする街並みが現れてくるという点だ。
通常、利便性の観点から、商業施設は駅前に作られ、駅前から離れるほどに、
徐々に住宅街へと変わってゆく。
一方で、新井薬師にはいくつもの商店街が存在していて、駅から歩きどんどん商店街に入っていくと、
この街の活気が見えてくる。昔ながらの商店に交じって点在するアトリエ、雑貨店、ギャラリー、カフェ。
それでも、この街はどこまでも遠慮がちだ。決して流行に乗ろう、という感じがない。
自分たちのペースを守って、自分たちの身の丈にあう形で、日々を営んでいるように思える。
東京の都心からほど近いこの場所は、都会の流れから取り残されたのか、
それとも自ら流れに逆らっているのか、わからないけれども、こんな田舎が私達はどうしようもなく好きだ。
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